太陽光発電 設備メンテナンスの要点と測定のポイント

太陽光設備メンテナンスの要点集です。網羅的に、まるわかりして頂けるよう、設備概要、改正FIT法、電気事業法改正、民間ガイドライン、測定器と測定内容、故障診断、民間資格、メンテナンスコストと測定器レンタルの関係のポイントをまとめました。太陽光パネルの寿命は20年以上、法定耐用年数は9年から17年と長期間にわたります。投資回収を確実に行うためにも、まずは基本情報のポイントをおさえてください。

この記事のトピック目次

  1. 太陽光発電設備の概要
  2. 改正FIT法とは?
  3. 太陽光発電システム保守点検ガイドライン(JM16Z001)におけるメンテナンス項目のポイント
  4. 太陽光発電のメンテナンスと故障診断のポイント
  5. 太陽光設備メンテナンスに関する民間資格
  6. 太陽光発電のメンテナンスにおける測定器のレンタル

1.太陽光発電設備の概要

パネルが整然とズラーっと並んでいて、見るからに太陽光発電設備を感じさせるパネルの一群を太陽電池アレイといいます。太陽電池アレイは、パネルの一群が架台にしっかりと支えられ、機械的に一体化し、電気的に接続された集合体といえます。

 

パネルはメーカーによってサイズが異なりますが、畳1枚ほどの大きさの交換可能な最小単位であり、モジュールとも呼ばれています。

※太陽電池については、市販ではソーラーパネルと呼ばれていますが、太陽電池メーカーはモジュールと呼んでいます。
この記事ではモジュールで表記を統一します。但し、引用でパネルとなっている場合もあります。

太陽光発電設備の概要図1 太陽光発電設備の概要

 

アレイの元々の意味は、配置、配列であり、複数枚のモジュールを直列、さらにそれを並列に配線し、十分な出力が得られるように設置されています。

 

モジュールを直列に配列したものをストリングといいます。ストリングは糸、ひもを意味します。複数のストリングは各々接続箱で個別の開閉器に接続されています。接続箱で並列に接続され、一つにまとめられた直流の発電出力が、パワーコンディショナー(PCS)で交流に変換されます。

 

太陽電池の基本単位は一辺約15cmのセルで、太陽電池の素地そのものです。畳1枚ほどのモジュールには、このセルがびっしりと直列に接続され、屋外で利用できるように強化ガラスで保護されています。

 

太陽電池ですから、影がかかれば電流が流れにくくなります。直列に接続されたモジュールの一部のセルに影がかかってしまうとどうなるでしょうか? その一部のセルのためにモジュール全体の電流が流れにくくなってしまいますね。それを避けるために、モジュールを3つのセルのグループに分けて、影がかかって流れにくくなったグループに対する電流の迂回路(バイパス)を作っています。もちろん、正常時は、迂回路を通る必要はありませんから図2のような電流経路になります。

 

正常時の電流経路

図2 正常時の電流経路

 

この迂回路は、グループに対してバイパスダイオードを並列に配置することで実現しており、この組み合わせをクラスタと呼んでいます。モジュールは、3つのクラスタを直列に接続した構成となっているわけです。

図3に異常クラスタが生じモジュールに異常をきたすときの電流経路を示しました。バイパスダイオードとクラスタの関係をイメージできると思います。一つのセルの異常で、そのクラスタも異常となります。3クラスタで構成されているモジュールならば、モジュールの発電能力が1/3減ります。

モジュール内に異常が生じた時の電流経路
図3 モジュール内に異常が生じた時の電流経路

2.改正FIT法とは?

改正FIT法とは、従来のFIT法(固定価格買取制度)で顕在化した課題に対して、再生可能エネルギーに対する位置づけそのものを変更した制度です。連動して、電気事業法も一部改正され、メンテナンス重視における民間のガイドラインの役割も明確化されました。ここでは、これらの動きを総合的に把握できるよう、要点をまとめています。

 

(1) 従来のFIT法(固定価格買取制度)で顕在化した課題

FIT法とは固定価格買取制度のことです。2012年7月に、再生エネルギーの投資を促進させるために、一定期間、固定価格で電力会社に売電できる制度が導入されました。

比較的設置が容易である太陽光発電は、投資リスクがヘッジされ、高い利回りが期待できる魅力的な投資対象として、制度開始後4年で導入量が2.5倍にも増加しました。

しかし、再生エネルギーの導入が促進されたものの、様々な課題が顕在化してきました。

第1は、太陽光に偏った導入です。天候と日射時間に左右される決して安定とはいえない太陽光発電の認定量が約9割、未稼働の太陽光案件が31万件を占めました。

第2は、国民負担の増大です。買取費用は2016年度に約2.3兆円、この内約1.8兆円が賦課金です。賦課金とは電力会社による買取費用の一部を国民が電気代と一緒に払っているお金のことで、一世帯、一か月あたり675円とのことです。

第3は、小売自由化や広域融通への対応です。これらとバランスを取った仕組みに向けた電力システムの改革が迫られてきました。

数値は、改正FIT法による制度改正について 平成29年3月 資源エネルギー庁より引用
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/setsumei_shiryou.pdf

 

(2) 改正FIT法のポイント

上記のような背景から、2017年4月1日に改正FIT法が施行されました。

 

これまでの再生可能エネルギーを増やす仕組み作りから、地域と共生しつつ、長期間、安定的に稼働させるための仕組み作りへの位置づけの変更であり、発電所自体を認定する「設備認定」から、事業計画そのものに対する「事業認定」への変更がポイントといえましょう。

 

特にメンテナンスの観点からは、「適切に保守点検及び維持管理するために必要な体制を整備し、実施するものであること」が認定基準に新たに追加されました。審査基準は、①保守点検及び維持管理の責任者が明確であること、②保守点検及び維持管理の計画が明確であること、の2点です。これらに基づき、適切なメンテナンスの実施等を含む事業計画が審査されます。

 

また、未稼働案件の排除と、新たな未稼働案件の発生を防止する仕組み、適切な事業実施を確保する仕組みが、新たな認定制度に組み込まれています。

 

いずれにせよ、メンテナンス強化、保守強化は明白です。認定基準を満たしていない場合は、認定IDを取り消す制度も設けられました。

 

(3) 改正FIT法に連動した電気事業法の一部改正のポイント

2016年11月30日付けで、「電気事業法施行規則」、「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」が一部改正されました。

 

これまでは出力2000Kw以上の設備において、工事計画の届出や、施工後の設置者による検査の実施などが義務づけられていましたが、500Kw以上2000Kw未満の設備について、「使用前自己確認制度」が導入されました。

 

「自己確認」は、民間の自主性を尊重したメリハリのある規制の見直しと、より高い保安水準を実現する取り組みを可能にするために、経済産業省で推進している「電気保安規制のスマート化」の一環です。

 

「使用前自己確認制度」導入の背景には、中小規模の太陽光設備について、突風や台風等によるパネルが飛散し、近隣の家屋等への被害が発生していることがあげられます。前項で触れましたが、地域と共生できていない、長期的、安定的に稼働できない太陽光設備が増大していることに他なりません。

 

また、構造物の基準強化、感電事故防止の基準強化といった技術基準の整備と、これまでは500Kw以上が対象だった事故報告義務が50Kw以上に範囲拡大されました。

 

(4) 民間ガイドラインへの期待の高まり

2016年6月に、経済産業省が「再生可能エネルギーの導入拡大に向けた施策の方向性について」において、「具体的に実施すべき内容を規定するガイドラインを、今後、国と民間において役割分担をして策定し、適切なメンテナンスの水準を確実に担保していく」と言明しました。

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/saisei_kanou/pdf/009_02_00.pdf

 

その一環として一般社団法人日本電機工業会及び一般社団法人太陽光発電協会により共同作成された「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」が2016年12月28日に公開されました。

ニュースリリースは「https://www.jema-net.or.jp/Japanese/res/solar/maintenanceGL.html」をご参照ください。

 

表1 ガイドライン
文献名 発行元 発行年月
太陽光発電システム保守点検ガイドライン
JM16Z001

https://www.jema-net.or.jp/Japanese/res/solar/pdf/161228_pv_maintenance.pdf

 

http://www.jpea.gr.jp/pdf/161228_pv_maintenance.pdf

共同作成

一般社団法人
日本電機工業会
(JEMA)

一般社団法人
太陽光発電協会
(JPEA)

2016.12.28制定

 

ガイドラインに見られた測定方法の変化の一例として、4(6)項でバイパスダイオードオープン故障試験の変化のイメージを追記しました。
詳細は、自ブログ「5.ガイドラインへの保守点検・メンテナンス基準作りの機運の高まり」を参照してください。

バイパスダイオード試験が初めて明記されたことが、関係者の話題を呼びました。いずれにしても、今後もガイドラインの動向を注視し、変化に対応していくことが必要です。

 

3.太陽光発電システム保守点検ガイドライン(JM16Z001)におけるメンテナンス項目のポイント

(1) 対象設備の規模から見た考慮すべきポイント

10kw未満を住宅用、10kw以上を産業用で区別しています。電気事業法により50kw未満が低圧、50kw以上が高圧の連係となり、法令の取り扱いが大きく異なります。そのポイントを表2にまとめました。

 

50kw以上では、専用のキュービクル(変圧器)が必須で、電気技術者による保安点検が義務づけられています。一方で、10~50kwの産業用は、技術者選定が必要ありませんが、設置者に保安責任があるため、自主的なメンテナンスが必要です。

 

表2 対象設備の規模から見た考慮すべきポイント
住宅用 産業用
発電規模kw ~10 10~50 50~2000 2000~
規模イメージ 屋根上 10kw
100㎡
(屋根設置)
50kw
500㎡
(屋根設置)
1000kw~
メガソーラー(呼称)
売電量 余剰分 全量 割愛
電気事業法 一般電気工作物

小出力発電設備

の位置づけ

自家用電気工作物

発電用の電気工作物

(発電所)の位置づけ

系統連係 低圧

高圧

(専用キュービクルが必須)

技術者選定 必要なし 電気主任技術者による保安点検が義務づけ(外部委託可)
設置者に保安責任があるため、自主的なメンテナンスが必要

 

前述した事業法一部改正、改正FIT法に関する規模別の制度見直しを表3に示します。

 

表3 事業法一部改正と改正FIT法に関する規模別の制度見直し
<太陽光発電における安全性の確保等に向けた制度見直し>
出力規模kw ~50 50~2000 2000~
50~500 500~2000
現行規制 技術基準適合義務

保安規程

主任技術者選任

工事計画届出

事故報告

技術基準適合義務

保安規程

主任技術者選任

工事計画届出

事故報告

技術基準適合義務

保安規程

主任技術者選任

工事計画届出

事故報告

事前規制

(強化)

使用前自己確認

(拡大)

・使用前自己確認制度による技術基準適合性確認を義務づける

工事計画使用前自主検査

技術基準の整備

・標準仕様の明確化(設計基準風速を把握していない、技術基準が十分に理解されていないケースがある。具体的な標準仕様を技術基準に例示)

・感電防止対策等の検討

事後規制

(強化)

事故報告(強化)

・パネルが発電所構外に飛散した場合は報告義務(これまでは家屋等の損壊などの有無で判断)

・50Kw以上にもパネルの脱落・飛散が生じた場合に、報告義務を課す(これまでは500Kw以上が対象)

通報スキームの確立

+

<改正FIT法>での対応

事業計画策定ガイドラインの策定

構造物、設備、点検保守に関する民間規格やガイドラインを整理

 

FIT制度見直しの検討状況の報告平成28年4月資源エネルギー庁を参考に作成
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/saisei_kanou/pdf/008_02_00.pdf

 

(2) 点検の実施時期と実施内容

点検については、竣工時点検、日常点検、定期点検があります。実施内容は、目視による外観検査と測定があり、実施時期は表4に示す通りです。
目視による外観検査を(3)、測定項目、測定タイミングを(4)で説明します。

 

表4 点検の種類
点検名 実施時期 実施内容
竣工時点検 竣工時 目視による外観検査+測定
日常点検 毎月1回以上 目視による外見検査
定期点検 4年に1回以上(*)
(例 10kw以上の場合)
目視による外見検査+測定

 

*定期点検の頻度に対するガイドラインにおける考え方を以下に引用します。

 

「定期的な点検及び保守は、太陽光発電システムの稼働中終始行い、また具体的なトリガーに応じて繰り返し行うことが望ましい。これらの頻度は、次に基づいて大きく変わりうる。(割愛)。用途、サイト及びシステム所有者の責任範囲によって様々な要因が多数あるため、この技術資料では点検の頻度を規定しない。しかしながら、(割愛)、システムと機器のレベルにおける点検作業を特定して、点検の頻度を決定するため、考慮すべき要因を提供する。」
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/res/solar/pdf/161228_pv_maintenance.pdfの10.2「点検の頻度とトリガー」より引用

として、ガイドラインに「点検作業並びに点検頻度を決定するための要因」がまとめてありますので参照ください。

 

(3)目視による外観検査項目

目視による外観検査については、各設備ごとに区分されており、概要は表5に示すとおりです。

 

表5 各設備毎に区分されている目視による外観検査項目
区分 外観検査項目
太陽電池アレイ架台
(太陽光パネル)
  • 太陽パネルの汚れ、破損
  • 架台(ボルト、ナットを含む)の腐食および破損
  • 接続ケーブルの結合状態、損傷の有無
中継端子箱
(接続箱)
  • 接続箱の腐食、破損、防水機能の状態
  • 配線、設置線の固定状況、損傷の有無
PCS
(パワーコンディショナーシステム)
  • 外箱の腐食、破損
  • 配線、設置線の固定状況、損傷の有無
  • 異常ランプの点灯、点滅
  • 換気フィルタの目詰まり状態
その他
太陽光発電用開閉器
  • 接続端子の固定状態
  • 接続ケーブルの結合状態、損傷の有無

 

(4)測定項目、測定タイミングの鳥瞰

各項目の測定箇所の鳥瞰は図4のとおりです。太陽光発電設備の施工・保守に関わる測定は、表5に示すように①検電、②接地抵抗、③絶縁抵抗、④耐圧試験、⑤継電器試験からなる電機設備の安全試験に関係するものと、⑥電圧測定、⑦I-Vカーブ測定、⑧故障位置測定に関係する発電状況調査に大別することができます。

 

各項目の測定箇所の鳥瞰図4 各項目の測定箇所の鳥瞰

 

表5 測定項目一覧
測定項目 概要
電気設備の安全試験 検電 対象物(ケーブル等)の通電有無を検知(感電防止)で共通的に使用する
接地抵抗 モジュール架台、ストリング架台、接続箱、PCSと接地間の抵抗を測定
絶縁抵抗 太陽電池、接続箱出力端子、PCS入出力端子の絶縁抵抗を測定
耐圧測定 モジュールに高電圧を負荷し、異常がないことを確認
継電器試験  PCS内蔵の過電圧、不足電圧、過周波数、不足周波数、地絡過電圧の各継電器の性能評価
発電状況調査 電圧測定 モジュールの開放電圧。下部側を切り離したときの電圧で、モジュール毎に実施
接続箱で測定するストリングの開放電圧。
PCS入力端子で測定する直流入力電圧、PCS停止中の電圧
PCS出力端子で測定する系統毎の電圧、接地相
I-Vカーブ測定 太陽電池の性能評価試験
モジュール(パネル)、ストリング毎に測定
故障位置測定 異常ストリングを絞りこみ、異常モジュールの中の異常クラスタを検知

 

表6に測定項目と測定タイミングを示します。

 

表6 測定項目と測定タイミング

測定項目 測定タイミング ガイドライン等による指示・推奨
施工時 定期点検・故障時
電気設備の安全試験 検電
接地抵抗
絶縁抵抗
耐圧測定
継電器試験
発電状況調査 電圧測定
I-Vカーブ測定
故障位置測定

 

4.太陽光発電のメンテナンスと故障診断のポイント

(1) 太陽光発電メンテナンスと故障診断 調査の目的と流れ

故障診断は、正常性確認も含めたメンテナンスの各種測定と表裏一体の関係があり、調査の目的と流れは以下に示す通りです。

 

  1. 正常な発電量が維持されているかの日常、定期的な確認
    (ストリング、モジュール単位)
  2. 発電量に変調が確認された場合の、故障位置の特定
    (故障交換はモジュール単位のため、最終的にはモジュール単位での特定が必要)
  3. 定量的な計測データに基づく異常、故障原因の究明
    (メーカーとの交換交渉のためには、最低限モジュール単位での特定が必要だが、より明確な原因究明にはクラスタ単位での特定が必要)
  4. 再発防止の対策実施
    (故障交換はモジュール単位、他)

(自ブログ「太陽光発電設備の故障診断における調査の目的と流れ」より引用)

 

(2) 太陽光発電の各種測定に必要な測定器の鳥瞰

図5に各種測定に必要な測定器の鳥瞰を示します。NTTRECのラインナップの一部ですが、太陽光発電のメンテナンスに必要な各種測定器を取り揃えています。

 

NTTRECラインアップ201707
図5 NTTRECのラインナップ(一部)

 

(3) 太陽光発電の各種測定内容のワンポイント

各種測定のイメージがつかめるように、ワンポイントで内容を説明します。

①検電

目的: 感電しないために、電気が流れていないかを検電器で確認する。

利用方法: 設備の電源を落とす。 検電器を使用し、電流が流れていないことを確認する。作業開始。

検電イメージ
写真1 検電イメージ

 

検電器写真2 検電器の一例

 

②接地抵抗

目的: 落雷時等に機器や作業者に電気が流れないように、大地に電気を逃がす配線(アース)へ、電気が正常に流れることを確認する。

測定原理: 電気は、高いところから低いところを通り、抵抗が小さいところへ流れる性質を踏まえ、アースの抵抗を測定する。抵抗は、限りなくゼロであることが望ましい。

利用方法: 測定器を機器アース端子と大地プローブに接続する。測定器の電源をONにし、電圧をかける。 抵抗が、限りなくゼロであることを確認する(定められた値以下であることを確認する)。

接地抵抗測定のイメージ図6 接地抵抗測定のイメージ

 

接地抵抗計写真3 接地抵抗計の一例

 

③絶縁抵抗

目的: 絶縁不良または劣化による感電や漏電などの危険性がないかを確認する。

測定原理: 高い電圧を印加して抵抗を測定する。抵抗は限りなく無限大「∞」であることが望ましい。

利用方法: 測定器を測定する端子と接地(アース)端子に接続する。測定器の電源をONにし、電圧をかける。 抵抗が、限りなく無限大「∞」であることを確認する。

絶縁抵抗測定図7 絶縁抵抗測定のイメージ

 

絶縁抵抗計写真4 絶縁抵抗計の一例

 

④耐圧試験

目的: 太陽光モジュール(パネル)に規格以上の電圧をかけ、壊れないことをストリング単位で試験する。

利用方法: 太陽光パネルに耐圧試験機を接続する。 測定器の電源をONにし、定められた電圧を一定秒間かける。 規定以上の電流が流れないことを確認する。

耐電圧試験図8 耐圧試験のイメージ図

 

耐圧試験器写真5 耐圧試験器の一例

 

判定方法: 規格が100のパネルに150の電圧をかけた場合、
規定以上の電流が流れるなら、耐える能力が低い。
規定以内の電流が流れるなら、耐える能力が高い。

⑤継電器試験

継電器とは、電流や電圧の急激な変化から電気回路を保護するための装置。

目的: 規定以上の電流、電圧が印加された場合、継電器が正常に作動することを試験する。

利用方法: 試験用端子に測定器を接続する。 測定器の電源をONにし、電流、電圧を印加する。 継電器が動作することを確認する。

継電器試験図9 継電器試験のイメージ図

 

継電器写真6 継電器の一例

 

⑥電圧測定

目的: 太陽光設備が定格どおりに正常な発電(電圧を発生)しているかを確認

利用方法: 測定器を+と-端子に接続する。 電圧が、メーカーが定める定格電圧に近いことを確認する。

判定方法: メーカーの規格が1000Vだった場合、1000Vを表示すれば、効率よく発電している。200Vを表示すれば、発電効率が悪い(モジュールの不良が考えられる)。メーカーが定める定格どおりの電圧が測定できれば、効率よく発電していることが確認できる。

電圧測定図10 電圧測定イメージ図

 

電圧測定器
写真7 電圧測定器(マルチメータ)の一例

 

⑦I-Vカーブ測定

目的: 発電状況をI-Vカーブ試験機(I-V特性試験機)でグラフ化して、メーカーが定めた性能と同等であることを確認する。

利用方法
・接続箱の端子に測定器のプローブをあてる。
・測定を開始する。
・ストリング毎に順次測定する。
・グラフ化されたI-Vカーブを見て、性能を確認する。
竣工時と同等の波形が得られることが望ましい。

I-Vカーブ測定図11 I-Vカーブ測定のイメージ図

 

I-Vカーブ(I-V特性)測定器
写真8 I-Vカーブ(I-V特性)測定器の一例

 

⑧ 故障位置測定

i. 異常ストリング検出

目的: ストリングそのもの、あるいは異常モジュール(パネル)を含むストリングを、接続箱から各ストリングに送信した返信信号で検出する

利用方法: 接続箱から各ストリングに信号を送信する。 返信信号を分析して、異常ストリングを検知する。

 

故障位置測定器

図12 異常ストリング検出のイメージ図

 

ソラメンテ-Z

写真9 故障位置測定器の一例

 

ii. 異常クラスタ検出(温度検出)

目的: 太陽光パネルの不良箇所(高熱の部分)をサーモグラフィーによる温度測定により検出する

利用方法: サーモグラフィーを太陽光モジュール(パネル)に向ける。 検出を開始する。 高熱の部分がないかを確認する。

判定方法: 高温箇所がなければ正常、高温箇所があれば異常あり。

温度検出による欠陥クラスタ検出写真10 温度検出による欠陥クラスタ検出のイメージ

 

サーモグラフィー写真11 サーモグラフィーの一例

 

iii. 異常クラスタ検出(磁界検出)の一例

目的: 太陽光モジュール(パネル)の不良箇所(測定器が反応しない部分)を磁界測定より検出する。

利用方法: 接続箱の端子に送信機を接続する。 送信器の電源をONにし、磁界を発生させる。 受信器を太陽光モジュール(パネル)に当て、反応しない箇所がないか確認する。

判定方法: すべて反応すればパネルは正常、反応しない箇所があれば異常あり。

欠陥クラスタ検出(磁界検出)図13 異常クラスタ検出(磁界検出)のイメージ図

 

故障位置測定器(異常クラスタ検出)写真12 故障位置測定器(異常クラスタ検出)の一例

 

(4) 電圧測定とI-Vカーブ測定の関係

太陽光設備が定格どおりに正常な発電(電圧を発生)しているか、また開放電圧の確認は、汎用のテスターで測定可能です。

しかしながら、汎用のテスターで測定した開放電圧は、太陽電池に不具合があっても正常な太陽電池と同じ値を示してしまいます。

不具合をしっかりと検知するためには、ストリング、モジュールに負荷電流を流してI-V特性を測定する専用の機器が必要です。

なぜそうなのか、私にとっても疑問でした。その疑問解消の過程は、自ブログ「開放電圧測定の限界とI-Vカーブ特性測定の必要性」に詳述していますので、ご参照ください。

 

(5) I-Vカーブ測定と故障位置測定の関係

1メガWの太陽光発電であれば、パネル(モジュール)の数は約4000枚です。1ストリング15直とすれば、267ストリングの規模感です。

最終的には、前項⑧-iii モジュールにおける異常クラスタ検出を行いますが、膨大なモジュール数がある場合は、まず異常ストリングを絞りこみ、それから異常モジュール、異常クラスタと段階的に測定していくのが合理的です。

異常ストリングの絞り込みは、前項⑧-iのように、接続箱から発信した返信信号で判断する方法と、前項⑦I-Vカーブ測定のようにI-Vカーブの形状の異常から絞り込む方法と2つあります。

その詳細は、「太陽光発電I-Vカーブトレーサーと故障位置測定器選び方」をご参照ください。

なお、故障交換はモジュール単位ですが、メーカー交渉等のためには、I-V特性のデータは必須であり、I-Vカーブ測定の機器は必要不可欠になります。

 

(6) バイパスダイオードオープン故障に対する新しい測定方法
(ガイドラインに見られた測定方法の変化の一例)

オープン故障とは迂回機能を失っている故障のことです。これまでのクラスタ毎に太陽電池を遮蔽して、発電状態を確認するこれまでの方法に対して、ガイドラインで合理的、実用的な方法が言及されました。イメージは以下のとおりです。

詳細は、「太陽光発電バイパスダイオード故障判定原理と測定器選び方」、「太陽電池とバイパスダイオードの原理に関する基礎知識」をご参照ください。

 

オープン故障していると、日射をさえぎっても太陽電池に電流が流れてしまう

全ストリング、全モジュール、全クラスタ毎に試験要

「上記手順は長時間の作業を要するため、市販されているバイパスダイオード故障判定装置での検査のプロセスも活用できる」

太陽光発電システム保守点検ガイドライン(JM16Z001)13.4.3.1 オープン故障ダイオード試験より引用

バイパスダイオードがオープン故障しているクラスタを含むストリングを限定

ストリングを絞り込んだ後、前述の作業でオープン故障しているクラスタを絞り込む

ストリングを絞り込んだ分、作業効率化が可能

図14 バイパスダイオードオープン故障に対する新しい測定イメージ図

 

5.太陽光設備メンテナンスに関する民間資格

(1) 太陽光発電メンテナンス技士資格

  • ①主催
    一般社団法人 太陽光発電安全保安協会 JPMA
  • ②概要
    太陽光発電システムのメンテナンスにおける保安基準や標準化された管理方法が確立されていないなか、発電事業者の立場に立った保守・管理技術者を育成するための制度
  • ③資格取得講座内容
    • 第1部 資格認定講座
      • 第1章. 太陽光発電メンテナンス技士資格制度と市場動向
      • 第2章. 太陽光発電設備と構成機器
      • 第3章. 太陽光発電メンテナンス技士資格制度と市場動向
      • 第4章. メンテナンス実施例と不具合
    • 第2部 技能講習会
      • I-Vカーブの測定
      • セルラインチェッカによる不具合個所の確認
      • 太陽光パネル設備の点検ポイントの説明等
  • ④資格者数
    全国約1100名(2017.8現在 ヒアリングによる)

http://www.j-pma.jp/太陽光発電メンテナンス技士資格/」より引用

 

(2) 太陽光発電アドバイザー資格

  • ①主催
    特定非営利活動法人 日本住宅性能協会
  • ②概要
    主に一般住宅用太陽光発電システムの導入に関して生じうる諸問題について、消費者の相談に応えることのできる専門的知識を有することを客観的に認定する制度
  • ③判定基準

・太陽光発電の社会環境に関すること

・太陽光発電システムの概要、原理・技術に関すること

・太陽光発電システムの導入に関する法令に関すること

・太陽光発電システム導入の支援施策、資金調達に関すること

・太陽光発電システム導入に関しての屋根、建築構造、設備に関すること

・現場調査、安全管理に関すること

・その他太陽光発電システムの導入における実務に関すること

  • ④資格者数
    全国約4000名(2017.7現在 ヒアリングによる)

http://pv.nichijuken.org/」より引用

 

6.太陽光発電のメンテナンスにおける測定器のレンタル

(1) レンタル、リース、購入 何がどう違うのか?

レンタルは、必要な時に、必要なだけ借りて、いつでも中途解約ができ、資産管理も、メンテナンスも故障時等の代替機対応の一切合切をレンタル会社が対応します。

 

リースは、いったん借りたら契約期間中はずっと借りていなければなりません。メンテナンス、故障時等の代替機対応は、お客様が自らメーカーと対応しなければなりません。

 

購入は、自分の所有物ですから、そもそも中途契約という概念はありませんが、メンテナンス、故障時等の代替機対応はリースと同様に、お客様が自らメーカーと対応しなければなりません。また、資産管理も、自らの対応が必要です。

 

表7 レンタル、リース、購入の比較

レンタル リース 購入
資産管理 RECが対応 RECが対応 お客様が対応
選択の自由度 必要な時に、必要なだけ 当初選択で固定 当初選択で固定
中途解約 可(差額精算のみ) 不可(違約金要)
メンテナンス RECが対応 お客様が対応 お客様が対応
故障時等の代替機 RECが対応 お客様が対応 お客様が対応

 

(2) 測定器レンタルのメリット

以下の観点から経営の合理化をサポートします。

  • 必要な時に必要な期間だけの利用でコストのムダを軽減
  • メンテナンスコスト、管理コスト、廃棄コスト不要
  • 校正切れの心配もなし
  • 陳腐化リスクの鍵
  • 所有せずに共有することでエコを実現

その他メリット、詳細はhttps://www.nttrec.co.jp/rental/merit を参照ください。

 

(3) 各種測定器の使用頻度とレンタルの価格感

表8 測定器の使用頻度とレンタル月額

測定項目 使用頻度 メーカー 商品名 レンタル月額(税抜)*
検電

作業

都度

長谷川電機工業 交流用HSE-7T1 ¥4,200  検電
長谷川電機工業 交流用HSG-6 ¥4,400
長谷川電機工業 交流用HSS-6B ¥4,500
長谷川電機工業 交流・直流用HSN-6A ¥6,150

接地

抵抗

1回

共立電気計器 設置抵抗計4106 ¥14,760  接地 抵抗
マルチ計測器 クランプアーステスタMET-2 ¥10,200
絶縁

抵抗

作業

都度

 

日置電機 デジタルメグオームハイテスタ4051 ¥3,340  絶縁 抵抗
日置電機 絶縁抵抗計IR4053 ¥4,200
マルチ計測器 太陽電池パネル対応絶縁抵抗計MIS-PVS ¥14,550
HT ITALIA SRL 多機能PVテスターPVCHECK ¥77,100
耐圧

測定

×

施工時のみ

日置電機 メモリハイコーダMR8870 ¥14,700  耐圧 測定
日置電機 電源品質アナライザPW3198 ¥77,000
ムサシインテック 直流耐圧試験器IP-020D お問い合わせ
継電器試験

1回

ムサシインテック マルチリレーテスタIP-R2000 ¥111,300  継電器試験
ムサシインテック 耐圧トランスR-1220H ¥118,900
電圧

測定

作業

都度

③、⑦等で対応可
I-Vカーブ測定

1回

日本カーネルシステム イプシロン1000 ¥75,000  I-Vカーブ測定
同上 同上 計測ユニット ¥13,200
英弘精機 MP-11 ¥80,600
戸上電機製作所 SPST-A1 ¥43,700
エヌ・ピー・シー 多連プローブ ¥16,300
戸上電機製作所 SPST-A2 ¥45,500
日置電機 FT4300 ¥43,100
新栄電子計測器 IVH-2000Z ¥50,850
HT ITALIA SRL I-V400W ¥96,200
グラフテック midi LOGGER GL240 ¥21,600  I-Vカーブ測定2
Hukseflux 全天日射計CHF-SR03 ¥34,800
アンリツ計器 温度センサ ¥4,000
日本カーネルシステム T型熱電対NKS-T03 ¥1,300
日置電機 ワイヤレス電圧・熱電対ロガーLR8515 ¥6,650
 ⑧ 故障位置測定 日置電機 FT4310 ¥33,400  故障位置測定
アイテス ソラメンテ-Z ¥33,300
システム・ジェイディー SOKODES ¥72,800
アイテス ソラメンテ-iS ¥57,800
新栄電子計測器 SMD-200 ¥44,500
戸上電機製作所 SPLC-A ¥15,400
FLIR 赤外線サーモグラフィFLIR E60 ¥79,100
日本アビオニクス

赤外線サーモグラフィ

Thermo GEAR G100

¥53,700

*レンタル価格は週額対応、長期割引きあり

詳細は「https://www.nttrec.co.jp/」をご参照ください。

 

上記測定器はNTTRECの太陽光発電関連のラインナップの一部で、購入価格は区々です。校正は年1回で3万円程度~10万円かかります。また、付属品価格、オプション価格も無視できません。故障、トラブル発生、費用増のリスクもあります。

使用頻度と費用対効果を考え、メンテナンスの為の機器費用にどれだけ費やすことができるか、経営判断が必要です。

必要な時に、必要な機器を、必要なだけ、安価でレンタルする、というのも一つの選択肢といえましょう。

 


 

以上、「太陽光発電 設備メンテナンスの要点と測定のポイント」を解説させていただきました。
なお、コーポレートサイトHPのREC VALUE STORY で、新規参入領域の太陽光発電設備のメンテナンスをケースに、NTTRECの設立経緯、強み、新規参入の考え方、新規参入領域での取り組み姿勢等全般をストーリー化してとりまとめてありますので、ご一読ください。

https://www.nttrec.co.jp/recvaluestory

 


NTTRECでは、太陽光発電関連商品として図15 のようなラインナップをそろえております。

NTTREC 太陽光発電関連商品のラインナップ(一部)図15 NTTRECのラインナップ(一部)

なお、この記事を含め下記コンテンツを太陽光関連としてシリーズ化しています。原理解説の他、多数の商品を比較するとともに、測定方式等解説していますので、併せてご一読ください。

 

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松田 淳  NTTレンタル・エンジニアリング株式会社代表取締役社長

松田 淳  NTTレンタル・エンジニアリング株式会社代表取締役社長

ブログの運営責任者。主にネットワーク系以外の執筆を担当しています。 「測定器の選び方」を切り口に、商品化の背景、各社測定器の相違点を比較する上で感じた疑問、疑問解明に向けて調べた内容等をストーリー化してお伝えすることを意識して執筆しています。
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